2017.01.30

麻乃佳世 その3

 私が当時、あまり麻乃佳世に注目しなかったのは、
静止しているときの姿の可憐さにくらべて
動いている姿が、あまり魅力的でなかったからだ。

それが今、なぜ、
当時のどの娘役よりも、愛おしく、懐かしく、感じるのだろう。

彼女の舞台人としての実力を問おうとは思わない。

宝塚という世界で、
娘役としての任を熟知し、また、その素質を持ち、
それを発揮することの出来た人。

それが麻乃佳世という、娘役。

退団してからも
そのイメージを守りつつ、加齢と闘いながら
ひたむきに舞台に立つ。

宝塚を退めてもなお、
ずっと妖精でありつづけようとしているかのようだ。

あの頃、私は自分と同じころの年齢のタカラジェンヌたちに、
自分を重ね合わせて観ていた。

今、どう頑張っても、あの頃と同じ熱心さで
宝塚を観ることはできない。

今は、あの頃とは、まったく違う目線で観ているのだ。


先日、娘といっしょに買い物に出かけたときに見つけた、
砂糖菓子のような色の
ふわりとしたコートをはおって出かけた。

お店やトイレに入るたび、
鏡で自分の姿を映してみる。

若すぎないか?

このコートは、娘くらいの子が着るコートで
私が着てたら、滑稽ではないか?

そんなことを心配しながら歩いていたら、
ピン!と来た。

麻乃佳世だ。

麻乃佳世は、これをやっているんだ、と。

ときどきふと、あの頃の自分に帰りたくなる。

そんなときは、
陸奥A子や大島弓子のマンガを読んだり、
ユーミンや松田聖子の歌を聞いたり、
昔の恋を思い出して、
密に胸をふるわせる。

宝塚歌劇も。

昔、あんなに娘役が好きだったわけが
ようやく分かった気がした。

今はなぜか、男役が好きだ。

麻乃佳世のような娘役が、
今はもういないからかもしれない。



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2017.01.29

麻乃佳世 その2


 「グランドホテル」の再演を観て。

初演をなぜ観なかったのか、
その後買って置いてあった、初演の実況CDを、なぜ捨ててしまったのか。
麻乃佳世のフラムシェンのプロマイドを、なぜ買っておかなかったのか。

後悔づくし、である。

おそらく、
初演よりも今回の再演の方が、総じて実力は上であったと思う。

涼風真世のダンスをちょっと垣間見ても、
麻乃佳世の固いダンスや演技を想像しても、
おそらく、おそらく、
今の人たちの方が、上手にやってるはずだ。

そこでまた、麻乃佳世に思いを馳せる。

宝塚歌劇入団当時から、現在に至るまで。

ただ、ストイック。

その一言につきる。

彼女については、
他のジェンヌの誰よりも
時の流れの残酷さを感じてしまうのはなぜだろう。

今も、こんなに頑張っているのに。

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2014.10.22

麻乃佳世

 麻乃佳世という女優のことを
知っている人は少ないと思う。

でも、宝塚ファンであり
特に、90年代の宝塚を知る人の中では
知らない人は、まずいない。

その頃、月組で
涼風真世と、天海祐希の相手役をつとめた
トップ娘役。


先日、「PUCK」の再演を観た。

もちろん麻乃佳世は出ていない。

でも私の目は
あの時の麻乃佳世のハーミアを観ていた、と
思う。

あのラストシーンの、ハーミアの微笑み。

PUCKに向かって
すべてを包み込むように
大きくうなずくしぐさ。

もう20年ほども前のこのシーンを
脳裏に焼き付けているファンは
多いと思う。


まったく知らなかった、
麻乃佳世の近況を調べてみる。

地道に女優を続けているようだ。

昔と一見変わらないその姿に、
ストイックさを感じる。

結婚もせず、お母さんにもならず。

このひとすじさが
麻乃佳世の持ち味でもある。

もう40代後半か。

時の流れの残酷さを感じつつ、
麻乃佳世の頑張りに
感慨深い思いがした。

もし機会があれば、
舞台を観に行ってみようか、と思う。


ハーミアを演じる佳子ちゃん。この衣装のまま、ラストシーンへと続く。
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カナメさんのPUCK。少女漫画そのもの。
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2014.10.22

宝塚、わが心の故郷

 関西蚤の市に行くために
阪急今津線に乗ったら、
宝塚歌劇にどうしても行きたくなった。

宝塚は今、「PUCK」
が上演されている。

「PUCK」とは、
かの「エリザベート」の演出家、小池修一郎が
約20年くらい前に作った名作である。

あれから「エリザベート」は、これでもか、と言うほど再演されているけど
「PUCK」の再演は、初めてである。

その日は土曜日で、3時公演があるから、
蚤の市を見てからでも、行ける!!

そう思うと、ものすごい早足になった。

結局、まだ見たりない蚤の市を後にして、
突き動かされるかのように
宝塚行きの電車に乗った。

南口駅から、劇場へ向かう道を
私はすでに、忘れていた。

後ろから歩いてきた女性に聞くと、
いかにも宝塚ファンらしく、
「真っ直ぐ行かれて、左に曲がって頂くと〜」と、
まるで劇団の身内の人のような言い方で、教えてくれた。

3時ギリギリに入って、
切符を購入するのにモタモタし、
開演から15分遅れで座席についた。

舞台はすでに大勢の出演者がわいわいがやがやと
セリフをあちこちから飛ばしていて、
何の事かわからなかったけど
とにかく、観た。

昔とちがって
だれがだれだか、まったくわからない。

私の頭の中は
ひたすら、20年前の配役が
ぐるぐると回っていた。

PUCKは、中世的な魅力で人気の高かった涼風真世。
ハーミアは、可憐でいかにも少女的な麻乃佳世。
あと、脇で、天海祐希と久世星佳が出ていた。
敵役のヘレンは、汐風幸だったか。

何でこんなに観たくなったのか
自分でもよくわからなかった。

最近、段々と遠くなっていく宝塚に
ただ郷愁を感じて
20年前の作品に、触れたくなっただけかもしれない。

そんな事を思いながら
舞台を観ていた。

ラストシーン。

妖精の掟にそむいて
記憶を失ったPUCKが、
ハーミアとストーンステージに上がる。

そこで二人が再び心を通わせ
おでこをくっつけながら微笑み合う。

感動の中、一呼吸がおかれ、
静かに幕が閉まる。

BGMは、ユーミンが曲を提供した、と話題だった
「ミッドナイト・サマー」。

このラストシーンを観て、
自分が、なぜこんなに観たかったのかが
わかったような気がした。

私は、このラストシーンを観る為に来たんだ、
そう思った。


家族に内緒で宝塚まで来てしまったので、
ショーは見ずに、急いで帰った。

今回は、これで十分、と思った。

私は、「PUCK」を観に、
ただここへ来たのだから。


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2014.05.13

ベルサイユのばら

 何年ぶりかで、
宝塚歌劇を観た。

宝塚の代名詞ともなった、
かの「ベルサイユのばら」
である。

♪ あ〜い〜(愛)
  それは〜
  甘く〜〜

の、ベルばらである。

ベルばらを始めて観たのは
小学生の時。

その時、
大勢のオンナ子供たちが
宝塚に夢中になった。

で、
私も、しっかり
夢中になった。

それから宝塚とは
離れては戻り、離れては戻りの
おつき合いが続いている。

と言ってもここ10数年間は、
もっとも遠いところにおり、
男役のトップスターが
おぼろげにわかる程度に
とどまっている。

それが、
たまたま娘の友だちのお母さんと
昔の宝塚の話で盛り上がって、
一度ご一緒しましょう、
ということになったのだった。

気持ちを盛り上げて臨んだ
ベルばらの舞台は
昔とちっとも変わらず
甘く、切なく、美しく・・・。

違っているのは、
時代と、
私自身。

それを、ひしひしと感じた。

今は女性上位の時代になったから、
陰ながらオスカルを支える
アンドレの姿が
さほど珍しいものでもなくなっていることに
気づく。

劇場のエレベーターで、
たまたま他の組のトップスターと
一緒になった。

きれいですね、と声をかけると
そのスターは、
こちらを見てにこっと笑い
会釈した。

こういうことが出来るのも
私が立派なオバサンになった
証拠である。

若いファンなら、こういう時、
真っ赤になって硬直するか、
キャ〜っと声をあげることだろう。

エレベータを降りて、
素晴らしいスタイルの、
そのトップスターの後ろ姿を
遠くに眺めながら私は言った。

きちんと挨拶してくれて、
感じがいい人ね。
ちっとも気取ってない。
私、あの人好きだわ!
今度、あの人の舞台観に行こうよ!

宝塚のファン層は、
まずは若い女性、
そしておば様ファン、と呼ばれる人たち、
タカラジェンヌになることを夢見る
子どもたち、
中年の男性ファン。

先日宝塚を観に行った私は、
昔の宝塚の思い出を
しっかり胸に抱きつつ、
今や、親心に近い気持ちで
舞台を観る
おば様ファンに属している、
ということを
実感したのだった。


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