2012.03.27

お酒について

 以前会社勤めをしていた頃、お酒の場で男の先輩がこう言ってるのを聞いたことがある。
「女房はお酒が嫌い。だから、毎晩飲み歩く僕のことも嫌いなんだ。」
「家で女房と、会話がないんだよ。だから、飲んで、家族が寝てから帰るんだ。」
「子供が巣立ったら、離婚かな。家庭なんてどうでもいい。」

その先輩は、酔っぱらって甘えてくる同じ課の女性を、優しく介抱していた。
その女性が好きなのかどうか、それはわからない。
社内恋愛で結婚した奥さんとは、まったく違うタイプの女性だった。
奥さんの方がずっと美人で上品だった。

私はその光景を眺めながら、となりの人につぶやいた。
「○○さん(先輩の名前)、あんなに女性に奉仕するのなら、お家で奥さんに
 もっと優しくしてあげればいいのに。」
すると、となりの人はあきれ顔で言った。
「あれ奉仕している、と思う?自分から好んでやってるのよ。」

確かに我ながら、ピントがずれていることを言った、と思った。
でも、何か言いたかったのだ。
奥さんを知ってるだけに、私の心境は複雑だった。

お酒に酔って甘えている女性にも、恋人はいるはずだった。
でも、その場ではそんなこと、おかまいなしだった。
甘える女性と、優しくする男性がいて、
ただその間にはお酒があるだけだった。

次の日、いつもどおり出勤して、みんな真面目な顔で仕事をした。

お酒とは何だろう、と思う。
心を解き放してくれるもの?
日ごろきりつめて生活している人でも、お酒となると、気前よく次々注文する。
それだけの価値があるのだろう。
夜、美味しいお酒を飲むために、日中は一生懸命働いている、そう言った人もいた。

先の先輩は、その後も離婚をしたとは聞いていない。
ひょっとしたら、大げさに言ってただけかもしれないな、と今頃になって思う。
お酒の場で、自分を演出していたのかも・・・。
自分を解き放つ、もうひとつの手段として。

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